フルーツティー

         《風雅と芳醇の妙》 愚為庵のかくれた一品です。
十数年前、まだ東京は田園調布に住んでいた頃、天気の良い日の自由が丘へ
の買い物は、ぶらりと散歩をしながら、いろんな道を通ったものでした。
ある日、九品仏(くほんぶつ)の駅近くを通ったときに、全く普通の民家を改装した
喫茶店を見つけ、何気なく入ってしまいました。
窓際に座ってお茶を頼んだ私に、カウンターの中にいた上品な初老のご夫婦が、
何故か突然にこのフルーツティーの作り方を教えてくれたのです。
長かった外国暮らしの中で覚えたのだそうです。
でもどうして、見ず知らずの私に、このフルーツティーの作り方の全てを教えてくれ
たのか、今持って不思議でなりません。
                              愚為庵の女将


@果物を切り整えます。
なるべく熟している果物を使います。
果物の甘みだけで紅茶の味を調えま
すから、甘みの多いものを沢山使います。

〔6月の例〕
 桃 サクランボ リンゴ マンゴウ オレンジ 枇杷
  キューウィ 巨峰 メロン 西瓜




A専用のガラス器に整えます。
彩りも味のうちです。



B別の器で抽出した紅茶を注いで、ガラス器ごと火にかけます。



Cある程度沸騰した状態で、10〜15分かけて果物の成分を紅茶の中に抽出します。



実はBの段階で、紅茶のほかにあるものを入れます。
これがポイントで、かつ企業秘密でもあるのです。
などともったいぶりましたけど、なくたって構いません。
それよりも、入れてはいけないものを教えます。
バナナとパイナップルです。
バナナは煮とろけてしまいお茶を濁らせてしまいます。
パイナップルは、全てがパイナップル臭となり台無しにしてしまいます。

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